Mieko Miyazaki koto
NGuyen-Le guitars
Prabhu Edouard percussions

経典を求めてインドへと旅する三蔵法師の道中を描いた「西遊記」。この冒険物語は、とりわけ猿の妖仙、孫悟空が、三蔵法師を守っての大 活躍によってつづら れる。いたずら好きで、魔術を思いのままにあやつり、小雲に乗って空を飛びまわり、妖怪や怪物に化けたりもする孫悟空は、インド、ヒンズー神話の中で最も ポピュラーな神様の一人とされているハヌマーンの兄弟とも言われている。 この「西への旅」はアジアのいたるところで、数々の絵巻物、京劇、デーモン・アルバーンのポップス・オペラ、漫画、テレビドラマ、「ドラゴン・ボールZ」 などのビデオゲームにいたるまで、幅広くアダプトされている。 我々が提供するこの音楽は、現実と空想とが錯綜するボヤージュ「西遊記」の名にふさわしい。我々のアイデンティティという、最も価値のある宝物を湛えなが ら、はるか彼方の異郷でしかお目にかかれない神秘への探索―――ヴェトナム発、日本を通ってインドへ。国境なきアジアを描いて、私たちは絹の細糸を織りつ づる。

中世の中国文学においては「西洋」がインドを意味していたように、人は自分の立ち位置を基準としたヴィジョンを持つものである。でもそ の中心点は弾けとび、増殖した。あなたの発する言葉は八方に投げかけられ、世界中にアクセスする準備が整っている。そう、音楽がそうであるように―――。 「SAIYUKI」の音楽は、伝統と革新の両面を豊かにあわせ持つミュージシャンたちによって奏でられる。みえこもプラブーも、箏、タブラといった特殊な 楽器を超絶技巧で弾きこなし、なおかつ深く伝統音楽に根ざす音楽家だ。18世紀の筝曲の古典「八重衣」をベースにした即興や、インドの伝統笛バンズリの大 巨匠ハリプラサード・ショラズィアを迎えての念願の共演を可能ならしめる。その一方で、ふたりは伝統音楽の枠組みを超えて、現代の音楽に活き活きと結びつ き、新しいサウンドに結びつくすべての可能性に開かれている。

グエン・リー
私の音楽上の言語はJAZZである。そのJAZZの概念をさらに広げ、豊かにするのが私の選択だ……ヴェトナミヤン・オリジンという私のアイデンティティ を思い出させてくれるサウンドたちと触れ合うことによって。 JAZZの世界に生きる者として、私はこのふたりとのインプロヴィゼーションを心ゆくまで楽しんだ。その喜びは、偉大なJAZZミュージシャンとの共演に 劣るものではない。そしてそこには、常に大胆な試みが存在する。 互いを瞬時に理解しあうこと、クリエイティヴであること、音と音の偶然の出会いの瞬間を阻むすべての枠組みを取り払うことが、我々のインプロヴィゼーショ ンだ。 三つのアジアのシルエットが融合した。昨日までのアジアと、今この瞬間のアジアの包含する「SAIYUKI」の土俵で、我々は互いを理解し、分かち合う。 深く深く根を下ろし、高く高く、天まで届けと葉が繁る大木のように。